日本公演新聞中部支局長山本孝弘さんの社説より
「人も自分も幸せを手にする秘密道具」と題した社説の中の一文を読んで感動した。
抜粋して紹介する。
「南アフリカのバベンバ族という部族のこんな話が載っていた。
村の中で悪事を働いたことが発覚すると、捕らえられた犯人は逃げられない手立てを講じられ、広場の真ん中に座らされる。その周りの村人全員が取り囲む。子どもも含めた全員である。裁判のようなバベンバ族の風習がそこから始まる。
取り囲んだ村人のひとりが、犯人に向かいその犯人が過去にやった親切な行為を語るのだそうだ。作り話は一切なく、子どもから老人まで村人全員が愛を持って誠実に詳しく語り、全ての人が話し終えるまで日数かかることもあるらしい。
最後の村人が話し終えると輪が崩され、そこには一体感が生まれているそうだ。そして再び犯人を仲間に迎え入れるお祝いの儀式が始まる。「許し」がすべてのわだかまりを消し去り、そこにはもう「犯人」はいない。
村人全員が「過去」はもちろん、「怖れに満ちた未来」を手放した瞬間である。」
社説になかの「取り囲んだ村人の一人ひとりが、犯人に向かいその犯人が過去にやった親切な行為を語るのだそうだ。」を読んで驚きと感度を覚えた。私なら、「すべての悪事や気に入らないことをかき集めて言い放つ」だろうと思う。どうも私たちものに溢れた世界に住んでいる人間とは出来が違うようだ。不便な生活をしている南アフリカのバベン族の人たちが、より人間らしく慈悲と愛に満ちた生活をしているように思える。今の自分が恥ずかしくなった。