公チャンネル

「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」

『長野オリンピック・ラージヒル団体で日本初の金メダルを狙うスキージャンプチーム。
そこに、エース原田のジャンプを複雑な想いで見つめる男―元日本代表・西方仁也がいた。
前回大会・リレハンメルオリンピックで、西方は原田とともに代表選手として出場するも、結果は銀メダル。
4年後の雪辱を誓い練習に打ち込んだが、代表を落選。失意の中、テストジャンパーとしてオリンピックへの参加を依頼され、屈辱を感じながらも裏方に甘んじる。
そして迎えた本番。
団体戦の1本目のジャンプで、日本はまさかの4位に後退。
しかも猛吹雪により競技が中断。メダルの可能性が消えかけた時、審判員たちから提示されたのは、「テストジャンパー25人全員が無事に飛べたら競技を再開する」という前代未聞の条件だった・・・。
「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~DVDジャケットより」』

西方さんの心情を察すると、素直にテストジャンパーを承諾することはできなかっただろう。
なんで俺が。
リレハンメルで原田選手が失速しなければ金メダリストになれたのに。
何のために4年間練習していたのだ。
しかも、生まれ故郷の長野オリンピックなのに・・・。
エゴが蛇やサソリのようにうごめいたと思う。
小さなエゴが日本代表の金メダル獲得という大きなエゴに成長していった。
この間の西方さんの心の葛藤は想像を絶するものがある。
長野オリンピックの原田選手の滑走の瞬間、「落ちろと叫ぶ」。
葛藤を乗り越えたがゆえに、大会当日、悪天候の中をテストジャンパーとして務めを果たした。
4年間同じ目標に向かって切磋琢磨してきた原田さんの心情も察するに余りある。
日本代表に全員が選ばれない。
厳しい世界である。
リレハンメルで自分が失速したことにより、金メダルを逃し仲間の人生を狂わせたという自責の念にかられていた。
そんな中にあって、原田さんが西方さんのアンダーシャツ、葛西(紀明)さんのグローブを身につけ、『彼等の分まで飛びたい』と願った2本目の滑走では、大ジャンプ(137m)を披露し、日本の優勝を大きく手繰り寄せた。
最終滑走者舟木さんが見事に飛び、日本は金メダルを獲得する。
我々サラリーマンも自己との闘いの中で仕事をしているが、西方さんや原田さんたちのような厳しさの中に他者への寛容さや思いやりが持てるだろうか・・・・。
いや、持たなければならない。
このビデオは人間の業とエゴと美しい心を織りなす感動のドラマであるだけでなく、生き方を教えてくれるドラマである。