紀 友則さんの和歌より
紀 友則さんの和歌より
ひさかたの
光のどけき
春の日に
静心(しずこころ)なき
花の散るらむ 『古今和歌集』
我家の庭の桜は、あっという間に散った。
昔むかしの日本人は、桜の花が風にゆられて散ってゆくのを観て、人生のはかなさを感じていたのだろう。
季節の移り変わりは、私に、無常をみせてくれる。
散ることは、次に命のバトンをつなぐこと。
散るから咲く。
人間も死ぬから、生がある。
花の散るらむ
ぼやぼやして、今を生きてはならむと我家の桜が教えてくれる。