日本医療評価機構 認定第 JC1979号
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『十五才学校W』
 山田洋次監督作品のタイトルである。
 不登校になって半年になる中学3年生の川
島大介さんは、ある日両親に黙ってヒッチハ
イクの旅に出ます。
 横浜から九州の屋久島を目指す大冒険です。
 屋久島では一人暮らしをしている、シベリ
ア帰りの老人と出会います。ある日、この老
人は尿もれを起し、布団も下着も尿で汚れま
す。
 少年は、老人の下着を洗い、布団を干し、
介助をします。そこに、福岡で働いている長
男が帰省し、病院の職員をともなって入院さ
せます。
 長男は、父の布団をめくるなり、臭い臭い
といいます。
 老人は病院に搬送され、家には長男と少年
だけになります。
 その時、少年は長男に向って、こう語りま
す。
 病院の人たちがいる前で、臭い臭いという
けど、おじさんだって好きでおしっこしたん
じゃない。あなただって、小さい時は、オシ
ッコやウンコをして、親に面倒を見てもらい
可愛がられて育ったんじゃないか、と。
 私はこのシーンを観て、相手の立場になっ
てものごとを見れるこの少年が大人にみえた。
自分の立場、ものの見方、価値観、信念を持
たなければ生きていけない。だが、人それぞ
れに、価値観や信念があり、相手のそれを理
解し、共感することで人間関係、疲れなく楽
しくなるのではなかろうかと思う。
 不登校の少年こそが、本当の意味での大人
ではなかろうか。
 競争社会、実力主義、成果主義、知能指数
等々で、人の値打ちをはかられたんでは、生
き苦しくて人間壊れてしまう。
 時間距離は短くなったが、風の匂い、土の
ぬくもり、鳥のさえずり等々をとばして、心
はせわしなくなり、荒々しい人間になってき
た。
 五十年前の生活に比べれば、王族、貴族の
生活をしている。これ以上、人間は何を得て、
どこに向かおうとしているのだろうか。
 許し合う、分ち合う、そのような人間にな
りたいものだ。